2025年4 月, From the Field
市場見通し
資産別ポジショニング
市場テーマ
冷え込むセンチメント
貿易政策に対する不透明感が強まる中、「ソフトデータ」として知られる家計や企業の景況感指標は顕著に悪化しています。景況感指数などのセンチメントは通常、雇用や支出などの「ハードデータ」の後を追うものですが、現在のソフトデータはハードデータが示唆するより格段に厳しい見通しを示唆しています(図表1)。現在、真に警戒すべき点は、家計や企業が現在のレベルの不確実性に長期間直面した場合の影響です。もしそうした事態になれば、設備投資、消費、採用などに関する心理が冷え込む恐れがあります。第1次トランプ政権下では貿易紛争が1年半近く続きました。センチメント指標は今回、正しいシグナルを送っている可能性があり、より深刻な景気の落ち込みが懸念されます。リスクの高まりを踏まえ、我々は引き続き株式への配分を引き下げています。
欧州株式の復活は本物?
2025年に入り、欧州株式が米国株式を上回るパフォーマンスを上げていることは多くの投資家にとって大きな驚きです(図表2)。年初時点では、欧州は景気見通しが暗く、3年以上続くウクライナ・ロシア間の紛争に加え、政治的混乱や米国の関税が懸念されていました。 それだけでなく、過去の政情不安、債務危機、英国のEU離脱などの混乱が何十年も続いたため、大半の投資家は欧州への投資に対して消極的でしたが、最近はドイツの防衛・インフラ支出拡大や競争力強化に向けたEU全体の取り組みなどの顕著な政策転換をきっかけに欧州株式への投資機会が見直されています。米国の関税政策による不透明感にもかかわらず、欧州に対するセンチメントは急速に改善し、投資資金も流入しています。我々はこれを単なる一時的な動きとは見ておらず、設備投資や貸出によるアップサイドが期待される欧州株式への配分を増やしています。
中央銀行プットは期待薄?
米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げは、デリバティブ取引のプット・オプション(売る権利)の購入と同じように「株安による損失から投資家を救う」ことから「FRBプット」と呼ばれます。足元、トランプ関税で米国の景況感が悪化する中、短期の市場金利には年内に4回程度の利下げが織り込まれていますが、ミシガン大学の調査で今後1年間に6.7%もの物価上昇が予想されている状況下、インフレ期待の高まりが消費者や企業の行動を変化を通じて実際の物価上昇を招くとされている以上、FRBが大幅な利下げに踏み切るには低くないハードルが存在するといえます。コメ価格の高止まりが続く日本でも、今後1年間で5%以上の物価上昇を見込む向きが半数を超えている(図表3)状況下、追加関税で景況感の悪化が進んでも日銀はインフレ警戒姿勢を緩めにくい公算で、日米ともに市場の利下げ期待とのギャップには注意が必要と考えています。
アセットクラス・ポジショニング
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