2020年4 月 / インサイト
グローバル・フォーカス・グロース株式運用戦略アップデート
Q. 欧州に続き米国も本格的な危機対応に乗り出し、社会的自由と経済のトレードオフについて議論されています。経済「封鎖」のインパクトと期間についてどうお考えですか?
最終的には、新型コロナウイルスは世界中に広がった後、自然消滅する可能性が非常に高いと考えています。最悪の場合、新型コロナウイルスが社会に蔓延しても何も策を講じなければ、致死率が5%に達する可能性があります。
私は5%という数値を軽視しているわけではありません。「致死率5%」というのは恐ろしい数字で、それは医療崩壊を招き、新型コロナウイルス以外の病気でより多くの人が死亡することを意味します。しかし、投資家はコロナ危機後の視点に立って全体像を把握する必要があります。ウイルスには寿命があり、いずれワクチンが開発され、最終的に我々の体内にも免疫ができるでしょう。しかし、残念ながら今は経済が封鎖されている段階です。
今回は私にとって投資家として経験する3度目の大きな経済危機です。私は1999年にキャリアをスタートし、ITバブル崩壊、世界金融危機、そして今回のコロナ危機を経験しました。深刻な金融危機、景気後退、恐慌 の大半は膨大な債務と投資資金の偏在が積み重なった結果、起きています。景気サイクルが重大な転機を迎えると債務危機が到来し、過剰な支出や投資の偏在が引き起こした問題の解決には数年かかります。
今回の危機は信用バブルの崩壊ではなく、外因的な自然の力が世界経済を強制停止させた結果引き起こされました。通常のリセッションにおいては、企業活動を賄う債務が膨らむことで、企業のキャッシュフローの現在価値の信頼性が失われます。
今日の状況では経済がストップし、その間の売上がゼロになるため、流動性と取引の問題が生じています。例えば、レストランや航空会社は収入がゼロでも固定費を払う必要があります。今回は過剰投資や無責任な債務拡大が原因ではなく、まるで流れ弾のような外因的な力によって売上が落ち込んだ結果であり、これまでに経験したサイクルとは大きく異なるものです。
Q. 世界規模で協調的な財政刺激策が導入されると思いますか? それは市場底入れを示唆し、先行きの不透明感払しょくを意味しますか?
いくつかポイントがあります。まず、人々は金融政策に嫌気がさしていると見ています。ゼロ金利は資産価値の上昇をもたらしましたが、一般の有権者や市民への恩恵は限定的です。その結果、人々は異なる政策アプローチが必要と考えるようになり、財政政策に対する期待が高まっています。トランプ政権は減税によりその一部を実行しましたが、私としてはより踏み込んだ政策が可能だったと考えています。その結果、現在、財政政策に対する考えを改める機が熟しています。
今回のような危機においては、個々の立場が問題となります。世界金融危機では、それぞれの立場の違いが明確でした。銀行と投資銀行は金融危機の後も長年非難され、ある投資銀行は危機を引き起こした存在として名指しされました。しかし、今回は原因がウイルスであり、見通しも従来と異なります。欧州ではドイツと他の国々、米国では共和党か民主党かにより、企業支援に関して異なる立場を有しますが、今回の危機における対策は、特定の業種、企業への優遇措置ではなく、難局を乗り切るために必要な緊急措置として位置付けられます。
財政政策については様々な考え方があります。今の超低金利環境が政府を借金に駆り立てています。わずか0.3%の金利で資金が借りられる状況に違和感を抱かないこと自体が驚きです。ではなぜ金利0.3%で米政府に資金を提供する貸し手が存在するのでしょうか? それは、国債が危機時における一時的な避難先となるからです。私は時々このような危機を「クマから逃げようとして崖から落ちる」と例えますが、それが実際に今起きています。こうした状況を踏まえると、すべての関係者が大規模な財政政策を受け入れる機がようやく熟してきたように思えます。
今は緊急事態であるため、大規模な経済対策に必要な資金を調達するための国債増発に反対する向きはありません。それはあくまで危機克服に必要な一時的な緊急措置です。巨額の財政支出により今後6~9ヶ月を乗り切ることができれば、新型コロナウイルスの感染拡大を止めることができ、投資家は短期間の金融取引ではなく、フリーキャッシュフローの現在価値に再び焦点を当てることができるようになるでしょう。
Q. 「今は深く暗い氷河期で、世界金融危機の時より深刻」という悲観的な声が聞かれる一方、「落ち込みは急激だが短期的なもので、いずれ脱出できる」 という前向きな意見もあります。この点についてどうお考えですか?
世界金融危機の時、私はポートフォリオ・マネジャーでした。当時は Lehman Brothers やBear Stearns といった大手金融機関が相次いで破綻し、Morgan Stanleyでさえ経営が不安視されていました。とりわけ、アメリカ人が全て家を失いかねないという懸念がありました。10年かけて積み上がった過剰債務のツケを払わざるを得ない状況に至ったことで、問題は短期のみならず長期の問題でもあるように見えました。
ITバブルの崩壊も過剰債務が原因でしたが、今回は原因が異なり、従来と違う種類の危機です。このため、足元の危機を乗り切れば、事態の好転まであまり時間がかからないと思います。
新型コロナウイルスがイタリアなど欧州に広がり始めた2月、当運用では警戒姿勢を取りました。具体的には、ポートフォリオのリスクをできるだけ減らすために、バランスシートリスクのある銘柄の組入を引き下げ、流動性危機に直面する恐れのある企業をポートフォリオから外すよう努めました。
また、新型コロナウイルスが中国を襲った際、大幅なオーバーウェイトとしていた中国株の比率を引き上げました。中国株のオーバーウェイトと、その時点では新型コロナウイルスの影響から最も無縁と思われた米国へのアンダーウェイトが結果的に非常に奏功しました。現在は新型コロナウイルスがインド、インドネシア、米国と世界中に蔓延しており、米国は感染の震源地となっています。
現在、中国やアジアでは状況が大きく改善しています。新型コロナウイルスの封じ込めにいち早く成功した中国は株価が回復しており、当運用で保有する中国株も年初来のパフォーマンスが大変好調です。対照的に、米国は状況が悪化の一途をたどっており、ウイルス感染率、企業のデフォルト率が上昇し、業績見通しの下方修正が相次いでいます。つまり、現在は株価がファンダメンタルズや資産価値から一番乖離しやすい「状況悪化」局面です。クマに襲われると、必死で逃げるのは人間の習性で、クマが近づくほど強い恐怖を感じます。それが今起きていることです。
投資家が考えるべき重要な概念で、また私の経験上とても有効だったものは、「悪化ペースの鈍化」という概念です。「悪化ペースの鈍化」とは、状況の改善や不確定要素の払しょくを意味するのではなく、またリスクがなくなると株価が底打ちするということでもありません。とりわけ、すべての不透明感が払しょくされた際に株価が底をつけるわけではないという点が重要です。状況の悪化ペースが鈍化すると、株価は底入れします。
前述のように、我々は2月にポートフォリオのリスクを引き下げ、コロナ・ショックからいち早く立ち直った中国株はパフォーマンスが非常に好調でした。米国のアンダーウェイトも奏功しました。
米国株は最近の急落で投資妙味がここ1~2週間高まってきたため、今は米国で投資機会を探しています。一方、アジア株については利益を確定しました。米国株の配分は中立に近づいています。お客様からは「どうして状況が悪化している米国の組入比率を引き上げる投資判断に踏み切れるのか」と聞かれます。その秘訣は、「悪化ペースの鈍化」という状態を具体的にイメージできるフレームワークを持つことです。
今回の「悪化ペースの鈍化」という局面は3つの要素で構成されます。
第1の要素は、財政、金融面の政策対応です。米連邦準備理事会(FRB)は流動性の供給において世界金融危機の際に1年かかったことを今回はたった2週間で達成しました。これは驚くべきことです。パウエルFRB議長はこの点で素晴らしい仕事を成し遂げました。政策担当者は金融政策ではカバーしきれない分野を補うために必要な財政政策の策定に向けて動いており、これは非常に重要なことです。各国政府が十分な緊迫感を持って信用危機を防ぐに足るだけの規模の財政政策を打ち出すことが必要です。
第2の要素は、ウイルス検査と治療薬です。当社のヘルスケア・チームによれば、ワクチンの開発には1~2年はかかりそうですが、検査や治療は今後3~4ヶ月で大きく改善すると思われます。それは新型コロナウイルスに対しより即効性が高くより効果的な抗体検査が行われることを意味します。現在、医療体制の逼迫や人口呼吸器不足が懸念されています。私の義理の姉妹2人は看護師で、一人はフロリダ、もう一人はボルティモアに住んでおり、どちらも医療現場でマスク不足に直面していますが、3~4ヶ月後にはこうした事態が解消されると思います。
治療、検査、医療器具の面では、現在は状況は悪化していますが、いずれ悪化ペースは鈍化し、改善に転じると見ています。1ヶ月前の米政府の楽観的なスタンスと感染率の過小評価が、感染率の悪化を招いたと思います。その時点でロックダウン (都市封鎖) を実施していたら、状況は今と大きく変わっていたでしょう。
最後の要素は、米国における感染率のピークアウトです。クマが最も近くにいるとき、恐怖が最高潮に達します。株価が底を打つのはそのように恐怖が最高潮に達する時です。その手掛かりとして注目されるのは米国の感染率ですが、ピークアウトの時期が3週間先か5週間先になるかは正確には分かりません。また、前述の3つの要素の正確な組み合わせについても不明ですが、これらが揃えば、「悪化ペースの鈍化」局面に至り、投資家も物事の本質に目を向けるようになるでしょう。
クマが近づいている時、つまり、状況が悪化している時、人間は本能的に逃げます。クマを大きく引き離したか、クマが追いかけてこなくなったと思う時、人間は資産価値についてより論理的に考え始めます。その正確なタイミングがいつになるか予想することは難しいものの、今後数週間先か数ヶ月先にこういった状況に至ると、市場は落ち着きを取り戻すでしょう。グローバル・フォーカス・グロース株式運用戦略において大変重要なこと、そして投資家が考えるべきことは、割安に購入できる資産が何か、いかにして「悪化ペースの鈍化」局面に備えるかということです。
Q. 生き残り戦略や投資のフレームワークについて考える時、大切なものは何ですか? また、現在のように市場のボラティリティが高い時にバリュエーションだけでは十分でない企業についてどんなファンダメンタルズに注目していますか?
我々の投資フレームワークにおいて、バリュエーションは常に大切ですが、極端に割安か割高な状態で最も重要です。バリュエーションは大半のケースにおいて、両極端の間のグレーゾーンにありますが、現在は、極端に割安な銘柄が見つかるケースが散見されます。
ダウンサイドリスクの管理という点で私がバリュエーションより重視しているのは独自の知見です。具体的には、企業、製品、業界、国の調査・分析を通じて得られた情報や見通しです。我々は現在、数年先を見据えた独自の知見に基づく投資アイデアの創出に全力を注いでいます。
私は自分のチームや世界中のアナリストに、「状況に関わらず何としても投資したい銘柄」 について考えるよう言っています。つまり、今回の危機がさらに深刻化しても確信を維持し、中長期的に本当に投資したい銘柄は何か、ということです。アナリストが常に楽観的で、バランスシートや事業を営む国について急に懸念が生じることのない「真に選好する長期成長銘柄」をポートフォリオに組み入れたいと考えています。私はアナリストにこうした銘柄を2~3銘柄ずつ選ぶように依頼しています。当然ながら、これらの銘柄はリスクとリターンの両面を備えています。これらは最も割安とは限りません。また、次の四半期に必ずしもアウトパフォームするとは限らず、むしろアンダーパフォームする可能性もあります。
ポートフォリオに組み入れている大腸癌検査会社のExact Sciences は、我々のアプローチを象徴する最たる例です。新型コロナウイルスの感染を恐れて今後半年程度は病院に行く人は少ないでしょうが、同社は市場によって非常に過小評価されていると思います。
動画配信大手のNetflixは、もう一つの例で、この銘柄はポートフォリオに長年組み入れており、これまで好パフォーマンスを残しています。最近は新型コロナウイルス対策で人々が自宅待機を迫られているため、動画を家庭で楽しめる同社のサービスは世界中で急速に普及し、映画館の存在を脅かしています。我々は長期保有銘柄としてNetflixを非常に高く評価しており、今回の危機により同社に対する確信はさらに強まりました。
株価が割高になれば、購入を見送ったり、利益を確定する場合もありますが、我々は、変革の波に乗り、長期の利益成長が期待できる企業を探しています。3週間以内に買ったばかりなので詳細は明かせませんが、数銘柄を新たに組み入れました。
ヘルスケアやテクノロジー・セクターには、非常に割安な水準にあり、投資妙味があると判断する銘柄が存在します。例えば、ヘルスケアセクターでは、ある個人検査会社は大手インターネット企業と提携し、広範かつ低コストの健康モニタリング・システムを開発しました。このシステムは将来莫大な価値を生む可能性を秘めた素晴らしいアイデアですが、これまでは株価が高過ぎて買えませんでした。ところが、コロナ・ショックで同社の株価は1ヵ月半前の水準から45%も下落しました。そうした素晴らしいアイデアが突如、非常に魅力的なものとなったため、すぐにポートフォリオに組み入れました。また、バランスシートリスクのある銘柄の売却資金を、確信度の高い銘柄の中で非常に割安になった銘柄に振り向け、組入比率を倍増させました。
今のような環境では、状況が悪化している時でも株価が上昇する「青信号銘柄」を探したくなり、誰もが追いかける銘柄に惹かれるかもしれません。しかし、ここは慎重な逆張り姿勢で臨み、値下がりしている「赤信号銘柄」、今後1~2四半期は問題があっても投資対象として魅力的で、来年には良い結果をもたらす可能性が高い銘柄に目を向けるべきです。
3ヶ月以内に「悪化ペースの鈍化」局面を迎えるとしたら、バランスシートに問題のある金融銘柄やエネルギー銘柄は株価が2倍になる可能性があると思います。今後どういった展開になるか想像してみましょう。通常、市場が混乱すると、投資家はディフェンシブ銘柄に殺到します。市場が落ち着き始めると、クオリティ銘柄が買われます。そして、「悪化ペースの鈍化」局面が始まると、それまで見放されていた銘柄が一番上昇します。
Q. 欧州も「悪化ペースの鈍化」局面から「改善」局面に移行していますか?どのような欧州株に投資機会があると思いますか?
我々はボトムアップで運用を行っており、投資判断の背景には常にリターン改善に関する見解が存在します。ポートフォリオの大きな変化は、前述の通りアジア株について利益を確定し、米国で投資機会を探すようになったことです。年初においては米国株をアンダーウェイトにしていました。新型コロナウイルスの感染率がピークアウトするにつれ、アジア株は驚くほど底堅く推移しました。中国株は感染率がピークに達した時に底入れし、銘柄によっては米国株や欧州株をアウトパフォームし、絶対ベースで非常に好成績を残した銘柄もありました。
現在は米国が新型コロナウイルス感染の震源地であり、一番強い売り圧力を受けている地域です。欧州については個別銘柄ベースで好機を探しています。
私はチームメンバーと昨日、ポートフォリオを見直し、3つのグループに分類してみました。
第1のグループは、新型コロナウイルスの影響を受けなかった持続成長銘柄です。SaaS (インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービス) 企業、インターネット企業、特定の大手テクノロジー企業などがアウトパフォームしました。
第2のグループは、新型コロナウイルスの影響を受けた持続成長銘柄です。それらはExact Sciences、Intuitive Surgical、Dexcomなどのヘルスケア銘柄です。航空路線は運航停止となっていますが、航空機業界は我々にとって趨勢的成長が見込める持続成長分野です。 このグループには、旅行関連のソフトウェア、インターネット企業なども含まれます。これらの銘柄は株価が急落しましたが、将来的にビジネスの成長が期待できます。
最後のグループは、新型コロナウイルスの影響で壊滅的な打撃を受けた銘柄です。その一例がCharles Schwabです。我々は規模のメリットが大きい同社のビジネスを高く評価しています。
同社は売買手数料撤廃を打ち出し、同業のTD Ameritrade買収を発表することで、他社に激しい圧力をかけ、研究開発への投資意欲を削いでいます。金融セクターの企業にしては信用リスクが低いことも魅力の一つです。財政政策のさらなる拡大を求める動きが強まれば、Charles Schwabのような銘柄はポートフォリオに上振れ余地をもたらします。
ポートフォリオの保有銘柄を3つのグループに分類し、各グループの銘柄についてリスク/リターン特性を検証しています。これらの3つのグループの組み合わせでポートフォリオを構成していますが、特に新型コロナウイルスの影響を受けた持続成長銘柄に注目しています。これらの銘柄は、企業の本質的価値から離れた水準にまで売り込まれており、危機後に最も株価の反発が期待できる銘柄です。
Q. グロース株はなぜディフェンシブ株になったのですか? テクノロジー分野における現在のポジショニングは?
今年はグロース・ファクターが驚くほど強いのが特徴で、低成長の環境はバリュー株にマイナスに働くという事実が改めて認識されています。実際、これはコロナ後の世界を考える上で我々が真剣に取り組んでいることです。テクノロジーの進歩はあらゆるセクターの生産能力を解き放ち、経済にデフレ圧力を及ぼします。人口動態という面では、人口が減っても自動化の進展によって賃金上昇圧力につながっていません。生産能力も以前ほど必要ありません。
それが金利に低下圧力をかけています。こうした状況が新型コロナウイルスによって変わるかどうかはまだはっきりしていません。テクノロジーなど、生産能力を解き放つものは有望な投資対象で、自動化ソフトウェア、ヘルスケア、エネルギーなどで自動化を推進する企業が投資家の人気を集めてきました。自動化は価値創造をもたらす分野です。
これは事実であり、今後も自動化が価値創造をもたらす状況は変わらないと思います。それゆえテクノロジー株やグロース株は価値創造をもたらす存在として優良な投資分野であり続けています。一方、余剰生産能力が存在する際、バリュー株のパフォーマンスは低迷します。原油は供給過剰で、在庫が積み上がっています。また、カネ余り状態も銀行の経営を圧迫しています。グロース株が好調なのはそのためです。
コロナ後の世界において超積極財政が原因でインフレが上昇するかどうかについては、私もまだ判断がつきかねます。ただ、確かにその可能性はあり、これはバリュー株にプラスに働くと思います。誰も見向きもしなくなるほどバリュー株を取り巻く状況が悪化すると、通常、チャンスが生まれます。
ファンダメンタル的に、「悪化ペースの鈍化」局面に至ると、エネルギー株は反発するでしょうが、原油の供給過剰という現実を無視することはできません。サウジアラビアとロシアは増産による泥沼の価格戦争から一日も早く脱する必要性を再認識するようになったようです。また、政権交代があるようであれば金融株は興味深い投資対象となりうると見ています。
テクノロジー株やグロース株については、非常に難しいことですが、やや慎重な逆張り姿勢で臨む必要があるでしょう。保有銘柄を一部手放さざるを得ない一方、それらは逆境に強い「青信号銘柄」であることから、売却はためらわれます。結局、このセクターへの配分を少し減らさなければならないでしょうが、テクノロジー株にも様々あるため、テクノロジー・セクター全体をアンダーウェイトする必要はないと思います。
例えば、誰もが半導体株を敬遠していた昨夏、我々は半導体株に対して非常に強気でした。半導体株は昨年後半に好成績を残しました。我々は今年、コロナ・ショック前に半導体のオーバーウェイト幅を半分にしましたが、この分野は趨勢的な変化が起きているので、配分を再び引き上げました。
複数の半導体製造装置やパソコン関連の企業によると、皮肉にも、これらのビジネスは驚くほど安定しているようです。なぜなら、自宅で使うパソコンの需要が増えているからです。
在宅勤務に対応するため、人々は新しい携帯電話やウェブカメラを必要としており、より多くのサーバー容量やデータセンターが求められています。これらの銘柄の株価は40~50%下げました。我々はその中から、独自の知見を有する有望銘柄を組み入れました。慎重な逆張り姿勢を取りつつ、絶好調だったグロース株を一部売却し、その資金を、よりバリュー寄りの分野にも振り向けるつもりです。
テクノロジー業界ではポジティブな動きもあるので、セクター全体をアンダーウェイトにするつもりはありません。インターネットやソフトウェアだけがテクノロジー株ではなく、ハードウェアにも魅力的な投資機会があります。
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