日本版スチュワードシップ・コードへの取り組みについて

2024年4月改訂

『責任ある機関投資家』の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫に賛同、受け入れを表明

ティー・ロウ・プライスおよびその関連会社(以下、ティー・ロウ・プライス、または当社。)は資産運用サービスをグローバルにお客様にご提供する運用会社です。世界各地に運用および営業拠点を有しており、現地の運用プロフェッショナルによるリサーチに基づき知見を用いたグローバルな資産運用サービスを、各営業拠点の市場のお客様へ提供しています。株・債券・マルチアセットにてアクティブ運用を中心にご提供しており、長期的に優良なパフォーマンスをお届けすることを目的に、将来の見通しに基づいた、確信度の高いポジションによって構成される運用アプローチを採用した多岐にわたる運用戦略を、お客様のニーズに合わせた投資形態でお届けしています。 

 

責任投資関連ポリシー

ティー・ロウ・プライスでは、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)(以下、ESG。)ファクターを運用に取り込んでいます。ESGファクターは投資リスク・リターンに影響を及ぼすと考えており、よって、運用プロセスにおいてファンダメンタル分析に織り込んでいます。また、中には金銭的な投資リターンのみを運用目的とするお客様ばかりではないことも認識しており、同時にお客様の価値感に寄り添った運用戦略、または環境や社会的課題へポジティブなインパクトの創出も同時に目指すような運用戦略もご提供しています。 

ティー・ロウ・プライスの一連のポリシーは当社のウェブサイトにて開示しています。これら一連のポリシーでは、当社がお客様へより安心できる長期的な資産形成をお届けするために、どのように企業価値の向上に努めていくかをご説明しています。

日本版スチュワードシップ・コード取り組み方針

原則1

機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

ティー・ロウ・プライスおよびその関連会社(以下、ティー・ロウ・プライス、または当社。)では、グローバルで一貫したアプローチをスチュワードシップに適用しています。ESGはグローバルに展開しているリサーチ・プラットフォームにて考慮する投資判断におけるインプットの一つです。ESGスペシャリスト・チームと専門のテクノロジー・チームにより多岐にわたるESGファクターの分析を可能にし、様々なアセットクラスにて運用プロセスへの統合をサポートしています。

当社独自に開発した責任投資モデル(RIIM)、インパクト・レンズ、ESGラベル債フレームワークを活用することで第三者機関によって提供されるデータを超える、より深い知見をポートフォリオ・マネジャー及び担当アナリストへ提供し、ESGファクターを投資判断に統合することをサポートしています。

当社の運用アプローチの中核は投資先発行体とのエンゲージメントにあります。発行体とは常に多岐にわたるアジェンダで対話を行っていますが、ESGにフォーカスした対話においては発行体の事業にとって影響の高い環境に関する取り組み、コーポ―レート・ガバナンス、そして社会的課題について開示をお願いし、意見交換、時によっては影響を行使します。当社の期待を発行体へ伝え、多くの場合、当社が発行体の事業の成功および当社の顧客にとって必要であると考える変革を促しています。

原則2

機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

ティー・ロウ・プライスにおける基本的な利益相反管理方針は倫理規範に定めており、当社ウェブサイトにて公開しています(英語のみ)。当方針は顧客の利益を著しく妨げるような利益相反を防ぎまた管理することを目指しています。利益相反が不可避である場合においては、その影響を最小限にとどめるべく組織的および業務的な対応を行い、必要と判断される場合には顧客への開示を行います。日本における利益相反管理方針は当社ウェブサイトにて公開しています。

ティー・ロウ・プライスにおける利益相反管理の基本は顧客の利益を最優先し対応することにおいています。想定されるケースごとの詳細についてはスチュワードシップレポートにてご報告いたしておりますが、合併買収 (M&A)にて売り手と買い手双方の企業を保有している場合などのケースが挙げられます。レポートではどのようにモニタリングおよび管理しているかをご紹介しています。

さらに、ティー・ロウ・プライスにおいてティー・ロウ・プライス・アソシエイツ(TRPA)およびティー・ロウ・プライス・インベストメント・マネジメント(TRPIM)それぞれのESG投資コミッティーが議決権行使に際し、利益相反のモニタリングまたは管理を行っているかをレポートにて詳細に開示しています。

ティー・ロウ・プライスでは、ティー・ロウ・プライス・グループ・インクの株主とお客様の利益は異なるものと考えています。それぞれを守ため、当社グループでは、地域毎に異なる全ての子会社とファンドのそれぞれに取締役会を設置しています。また、それらすべての当社グループ傘下子会社を取りまとめるティー・ロウ・プライス・グループ・インクにおける取締役会は、全ての顧客の利益を守るため、トップクラスのガバナンス慣行を心がけており、方針、プロセス、アクション全てが最高の倫理と誠実さを誇るよう努めています。

ティー・ロウ・プライスにおけるガバナンス体制は進化しており、スチュワードシップレポートにて変更点についてご報告しています。ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ(TRPA)およびティー・ロウ・プライス・インベストメント・マネジメント(TRPIM)それぞれにおけるESG投資コミッティーがスチュワードシップ方針を監督しており、その方針が実践に即したものである責任を負っています。スチュワードシップはティー・ロウ・プライス・グループ・インク取締役会における指名・コーポレート・ガバナンス委員会が最終責任を有しており、スチュワードシップ・レポートは経営委員会委員を兼ねているグローバル投資部門責任者に提出される前に当該委員会にて承認されています。グループの取締役会はほぼ独立取締役にて構成されています。

原則3

機関投資家は、投資先企業の持続的成長にむけてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

ティー・ロウ・プライスにおける投資先発行体モニタリングにおけるアプローチは資産クラス、開示サイクル、投資規模、業績・パフォーマンスへの懸念の大きさによって異なります。当社ではファンダメンタル分析に基づく長期投資を基本としていることから、投資先企業の経営陣、業績、経営戦略、ガバナンスのモニタリングは通常の投資プロセスの一部として行われています。当社独自のリサーチ・アナリストは業績、バリュエーション、マクロ経済状況といった財務情報と同時に、環境・社会・ガバナンスといった非財務情報を分析しています。

モニタリングでは、株式または債券どちらの戦略も同じアプローチを適用しています。株式とクレジットのアナリストは業績発表やニュース、経営戦略上の公表など一般公開後、企業または発行体の経営陣とミーティングに同席しています。アナリストがモニタリングの責任を負っており、企業および発行体の様々な報告書提出などの公開情報から証券会社のリサーチ、インベストメント・カンファレンス、特定の産業に特化した出版物、アナリスト・デーなどからの情報収集を通じてモニタリングを行っています。また、RIIMモデルは常に最新の公表データやエクスポージャー、不祥事などを把握しているため、同モデルを通じてポートフォリオのモニタリングを定期的に行います。

原則4

機関投資家は、投資先企業との健全な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

ティー・ロウ・プライスのエンゲージメントはポートフォリオ・マネジャー主導の下、当該発行体担当リサーチ・アナリスト、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)などサステナビリティに関する専門的知識を有するインハウスのESGスペシャリストと協働することで、当該発行体や産業、ESGにかかる専門的知見を活用して行っています。

企業発行体とのエンゲージメントは通常、取締役会宛書面、個別ミーティング(対面、カンファレンス)、議決権を通じて行っています。当社では、企業発行体に対しては株式・債券といった資産クラスにかかわらず同様のエンゲージメント・スタイルをグローバルで適用しています。ただし、インパクト投資戦略においては、インパクト・リサーチ・ミーティング(週次)を通じ、議決権やエンゲージメントにおいてより細部まで協働して行っています。当社のエンゲージメントに対するアプローチについてエンゲージメント方針をウェブサイトにて公表しています。

投資先発行体との個別エンゲージメントは顧客資産にとって有効であると考える一方、規制の範囲内において協働エンゲージメントを通じ個別エンゲージメントにより明らかとなった特定の懸念事項においてエスカレーションする手段として多く活用してきています。協働エンゲージメントは通常他の投資家とともに特定のアジェンダや特定の変化を促すために協働で対話を行います。スチュワードシップ・レポートにてその活動内容をご報告いたします。

ティー・ロウ・プライスでは倫理規範(英語)において社員のインサイダー取引の禁止事項を定めており、ウェブサイトにて公開しています。当社でのマーケットサウンディングをご希望の発行体は、Market_Sounding@troweprice.comを通じて当社グループのコンプライアンス・チームへご連絡ください。

原則5

機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

ティー・ロウ・プライスの議決権行使プロセスは、コーポレートガバナンス及び個別企業の双方の観点を考慮し、リサーチ・アナリストとポートフォリオ・マネジャーが主体となり、当該企業の長期的な成長、そして株主もその成長を享受できるよう、思慮深く、投資の観点から行っています。

ティー・ロウ・プライスでは議決権行使に際し、第三者機関であるISSと契約しています。議決権行使ガイドラインに関してはISSの提案を参照にするものの、各市場のコーポレートガバナンス・コードにて奨励されている慣行やその他の市場の基準を考慮し、独自のガイドラインを策定しています。 ポートフォリオ・マネジャーが担当する運用戦略において投資している企業の議決権に対し最終的な決定権を有しています。スチュワードシップ・レポートにおいて議決権助言会社の利用方法の詳細とそのモニタリングについて報告しています。

ティー・ロウ・プライスでは、全ての議案について行使結果をホームページにて開示しています。当開示は議案の結果、株主提案や反対票を投じた議案など重要な議案についてはその理由を含んでおり、企業別またはポートフォリオ別にて表示が可能となっています。当開示は6ヶ月毎に更新しています。また、毎年総会シーズン後にはその年のコーポレートガバナンスにおける傾向や議決権行使のサマリーをまとめたレポートを発行しており、ホームページに開示しています。その他、機関投資家のお客様には個別のご要望に応じてご報告しています。当社では同一戦略における口座間の保有はほぼ同一となっているため、同一戦略を選択することでお客様はご自身の投資ポートフォリオにおける全ての議案の行使結果へアクセスが可能となっています。

また、ティー・ロウ・プライスにて投資を行っている日本株式における議決権行使結果および重要な議案についてはその理由について、議案毎に当社のウェブサイトにて毎年8月末に公表しています。(7月~翌年6月末までの期間。)開示の範囲や頻度および方法については、適宜見直し、変更を行っていきます。詳細は議決権行使についてをご参照ください。

原則6

機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

ティー・ロウ・プライスではスチュワードシップ・レポートを毎年発行しています。レポートは英国版スチュワードシップ・コードに沿った開示となっていますが、日本版スチュワードシップ・コードなどその他の市場のスチュワードシップ・コードにも対応しています。さらに、重要なESGテーマ、エンゲージメント、議決権行使、投資へのアプローチについてESGアニュアルレポートを通じてお客様へ報告を行っております。

また、ポートフォリオ毎にESGレポートを発行しており、ポートフォリオの運用においてどのようにESGファクターが考慮されているかをお客様へ定期的にご報告しています。レポートではスチュワードシップ(エンゲージメント)、議決権行使、気候変動リスク(カーボンフットプリント)にフォーカスを当てています。

原則7

機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

ESGの重要性が高まっていく中、ESG専門の運用リソースに継続的に投資を行ってきました。責任投資、ガバナンス、規制リサーチの3分野に専門スタッフを配置しています。これらの専門スタッフはリサーチ・アナリスト及びポートフォリオ・マネジャーが、各発行体の投資パフォーマンスにおいて重要な影響があると思われるESGファクターの選別、分析、そして投資判断への統合をサポートしています。さらに、ESGスペシャリストは議決権行使オペレーションやESGデータを運用に活用するための専門のテクノロジー・スタッフがサポートしています。また、ESGエネーブルメント部門ではお客様や市場のESGに関する動向や必要とされる報告書など需要の分析およびとりまとめを行うスタッフを擁しています。

ティー・ロウ・プライスでは、協働とダイバーシティーの企業文化が、市場にて見逃されるであろう投資機会の発掘を可能にすると考えています。優秀な人材を採用し、育成していくために、次世代を担う重要な人材の育成とサクセッション・プランの取り組み、ダイバーシティー・エクイティ―・インクルージョン(DEI)促進のイニシアティブ、社員が経験と成長する機会の確保、かつ競争性の高い報酬制度に取り組んでいます。この取り組みに対する評価は、ポートフォリオ・マネジャーの平均在籍年数によって評価できると考えており、スチュワードシップ・レポートにて報告しています。

自社のアナリストによるファンダメンタル分析が投資判断の主な原動力であると考えていますが、ESGリサーチでは外部の定量データサービス・プロバイダーを活用しています。第三社データサービス・プロバイダーの活用についてはスチュワードシップ・レポートにて詳細を報告しています。

ティー・ロウ・プライスにおけるスチュワードシップ活動を有効に維持するために、定期的に方針、実施状況を見直しています。責任投資およびガバナンスのスペシャリストによる活動はESG投資コミッティーの監督下にあります。ESG投資コミッティーは運用、法務・コンプライアンス、オペレーションなどの部門のスタッフにて組成されています。コミッティーは通常年2回(夏・冬)開催され、自己評価とスチュワードシップ活動についてレビューを行っており、日本版スチュワードシップ・コードに基づく開示は年次にてウェブサイトにて更新しています。

エンゲージメント活動実績 
日本版スチュワードシップ・コードの実施状況の自己評価
スチュワードシップ・レポート

お問い合わせ先
ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社
コンプライアンス部
Eメール:Tokyo_Compliance_Public@troweprice.com

〒100-6610 東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー10F
電話番号 03-6758-3820(代表)
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第3043号
一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
202408-3787213